【専門家パートナー記事】不動産の「共有」について考える

【公開日】 2021年07月06日

こんにちは、弁護士法人高志法律事務所 弁護士 後藤 正邦です。

民法は、複数人で物を共有するという状態を認めています。
ここでは特に不動産(土地・建物)の共有について考えてみましょう。

不動産を共有するという状況はいくつかの原因で起こりますが、以前に比べて最近ふえたのは、
住居を買う(建てる)にあたって、最初から住宅ローンを夫婦で組み(夫婦で連帯債務者となって夫婦でローンを返済することにして)、不動産の名義も夫婦の共有にするパターンです。

このパターンの場合に関して私からの一番のアドバイスは、
「夫婦仲良く、力を合わせて、良い家庭を築いてください。」これに尽きます。
お分かりになると思いますが、万が一離婚ともなると、
この共有不動産を誰が使用するのか、あるいは第三者に売るのか、ローンはどうするのか、といった問題が起きてきます。
そうした事態を招くのは、誰にとっても良いことではありませんね。

不動産の共有が起きるもう一つの大きな原因は、相続です。

例えばお父様所有だった不動産について、遺産分割の協議がうまく整わず(あるいは、あまり真剣に遺産分割の協議を行わず)、「とりあえず共有」にするということがあります。
言い換えれば「とりあえず」遺産分割の問題を終わらせたい場合ということですが、これは問題の先送りにしかならないことが散見されます。

共有の権利(「持分」といいます)を、
・2分の1ずつにする(2人の場合)
・3分の1ずつにする(3人の場合)
・1人(例えば妻)が2分の1で、2人の子供たちが4分の1ずつにする(計4人の場合)
など、共有状態のパターンはいろいろあります。
しかし、共有の不動産は、相続人のうちの誰かだけが利用するにしても、他人に売るにしても、貸すにしてもスムーズに進まず、次のもめ事を招くことがあります。

したがって、これまで多くの親族間紛争を経験してきた弁護士の立場からすると、このような不動産の共有はなるべく避けた方が良い、すなわち、遺産分割の中できちんと解決してしまった方が良いと思います。

仮に、「ひとまず共有」の状態にすることを選択するにしても、利用する/売る/貸すといった場面に応じたルールも決めておくと良いでしょう。
そうでなければ、誰も使えず、誰にも売れず、誰にも貸せない塩漬けの不動産になってしまうことになりかねません。

なお、もし共有で塩漬けのようになってしまう場合は、これを打開するための方法が民法で決まっているのですが、これについてはまた別の機会にご説明します。

 

弁護士法人高志法律事務所
弁護士 後藤 正邦

専門家パートナープロフィールへ

おすすめ記事

建替えorリフォーム?迷った時に考えるポイント

不動産の「買取」と「仲介」の違いとは?

【専門家パートナー記事】不動産の「共有」について考える

新着記事

分譲地の区画、どこを選べばいいの?

冬に多い住宅のトラブルとは?

建物価格以外にかかる費用って?

赤字の原因に?意外とかかる家づくりの諸費用に注意